OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来

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シンプルに「オススメの本」です。

この夏の「多様な学び全国フォーラム」において、著書の白井俊さんが登壇くださりお話してくれました。

2020年12月に初版が発行されました。

著者の白井さんは現在文部科学省の初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室長という肩書きだそうです。(関西国際大学客員教授)

夏に白井さんのお話を聞いて、すぐに書籍を購入し、面白いなー面白いなーと膝を叩くような気持ちで読み進めていけました。

経歴を見ると2015年にOECD(経済協力開発機構)教育スキル局アナリストとして出向しており、その時に関わったOECD Education2030についてこの度まとめて出版してくださっています。

膨大な会議文書やプレゼンテーション、議論を日本の今現在の教育環境に照らし合わせながら日本の読者を対象としてまとめてくださっていてとても読みやすい内容になっています。

高度成長期の日本においては、良い学校に進学し、良い企業に就職し、終身雇用によってある程度「幸せ」な人生設計が描きやすい時期もあったかもしれません。

ただ今の社会を僕も1プレーヤーとして暮らしながら、何が「幸せ」か、何が「正解」かそういったものが以前と比べて大変不透明な、そして考え方も多様化しているように感じています。

その中で、本書にも繰り返し登場する

エージェンシーという言葉

「自ら考え、主体的に行動して、責任をもって社会変革を実現していく力」

・将来的な目標を見据える力
・批判的思考力
・現状に疑問を持つ力 等

が大事になってくるというふうに書かれています。

日本で直面している、「今まで通りのことだと通用しないかもしれない」という感覚(僕はその感覚は強いのですが、皆さんの周りはどうですか?)は本書を通じてOECDでの議論でも随所に見られ、世界的に直面している課題なのだと改めて感じました。

その課題解決に向けて「教育」が果たす役割は小さくなく、どのような「教育」「学校」であればエージェンシーが養われるだろうか?という風に世界の教育トレンドはシフトしようとしているという、強い危機感からくる空気を本書を通じて感じました。

その感じは僕が普段感じている危機感と、オーバーラップするところもあり、そう言ったことを分かりやすく、日本の文科省の人が解説して書籍化してくださっているところに、希望を抱いている次第です。

ただ、末端まで浸透していくのには時間を要するでしょうし、出來る人が出來るところからそれぞれ取り組んでいくことが引き続き重要で、その中で協働出來るところは大いに協働しながら社会を動かしていく必要があると改めて勇気をもらえる書籍でした。

「自ら考え、選択し、実践していく力」

「自分の行動に対しては責任を負っていく姿勢」

「多様な他者を理解し、受容し、協働していく力」

サドベリースクールと照らし合わせた時に、共通するところが大きく、「2年生なのに九九は出來るのか?」「漢字は書けるのか?」と枝葉の部分を心配してくださる人がたくさんいる中で、しっかりと上記の様な力を育みながら将来自立的に力強くしなやかに生活していく礎を築けたら良いなと感じました。
(九九が出来たり、漢字が書けたら便利だなとはもちろん思っています。)

サドベリー教育は21世紀型教育の1つの形体であるなと思っています。

途中「カリキュラム分析」などテクニカルな話題も登場しますが、概ね2030年(9年後)に求められる「スキル」というものに焦点を当てながら、何が大事になってきそうか・・・なんて話が面白かったです。

最近、色々な人にこの本の紹介をしていますが、1つの本を読んでみんなで議論するなんてのもしてみたいな。

新田サドベリースクールの保護者さんにも提案してみようかしら(つぶやき)

読書の秋ですね。

お勧めの書籍あったら紹介してください。

文:スタッフ 長谷洋介