私たちは本当に山奥で活動しています。
なので野生動物と接することが良くあります。
畑・田んぼをしていると、シカやキツネ、タヌキなどの存在を感じますし、ヘビや蜂などにも注意は必要です。
夏休み新田集落のおじいちゃんから「スクールの近くにニカ(キイロスズメバチ)が巣をしとるで!」と連絡がありました。
スクールの近所に住んでいる2家庭からも連絡がありました。
「どうしよう?駆除する?2家庭とスクールとで駆除費用を折半出来るだろうか?」
夏休み中だったのでスクールで議論することは出来ずに、とりあえずスクールが再開するのを待つことにしました。
スクールが再開されて、初日に早速話し合いの場が持たれました。
駆除にかかる費用について
キイロスズメバチの生態について(初冬には活動は沈静化して冬には空き家になるということ)
近くで騒がなければおそらく襲ってこないということ
キイロスズメバチも一生懸命生きているということ(ハエとかアブとか食べてくれるらしい)
などなど色々と話し合ったり、意見交換をした結果
「温かく見守ろう!」ということになりました。
近くに住むHちゃんやTちゃんは「ちょっと怖い。」と最初は言っていました。
でも、時が経つにつれて、その2人をはじめみんなだいぶ慣れていったように感じます。
中には近くで観察する子がいたり、巣の近くを通って登校してきたり、外にあるトランポリンではいつものように遊んでいますし、外での鬼ごっこも健在です。
そして本日、「新田集落の人が薬を使って駆除しましょうか?」と言ってくれていると近所のパン屋さんから連絡が入りました。
その旨をスクールで話あったときに、
Tちゃんが「うち猫飼っていて、薬を使って駆除するのが、猫や人間への影響が気になる。」
とか
Hちゃんが「もうそろそろ寒くなってくるし、駆除しなくても見守ったら良いと思う。」
と率先して意見していました。
周りの子どもたちは、「どちらでも良い。」とか「駆除してもらえるならば駆除してもらったら良いと思う。」などの意見でしたが、2人の「見守ったら良いと思う。」という意見を尊重し、結果駆除しないことになりました。
最初は「怖いから駆除してほしい。」というような意見だった2人が、ちょっと時間を過ごしたら、スズメバチの事を尊重出来るような心の余裕を持ち合わせたような気がして、とても面白く感じました。
よく分からないものは怖い
というのは人間の特性なのかもしれませんが、相手の事をちょっとずつ知ることによって少し自身の心に余裕をもたらし、他者に対して寛容になれるのかなと感じます。
実害があったら嫌ですが、他者を見守れる度量と余裕は大事だなと思いました。
そしてそんな選択をしたスクールに面白みを感じると共に、温かみも感じました。
焚火の煙と太陽の木漏れ日がとても神秘的だねと体験のYちゃんが言っていました。
僕の写真のテクニックではとても表現出来ないですが、ふとそんな瞬間を共有できる有難みを感じました。
文:スタッフ 長谷洋介