サドベリーバレースクール視察

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3月末から4月の頭にかけてアメリカ、マサチューセッツ州フラミンガムにあるサドベリーバレースクールに視察に行ってきました。

5年前森のようちえん「まるたんぼう」有志の勉強会で出会った「世界一素敵な学校」という本。

そこに描かれていた世界に魅了され、当時高校の教壇に立たせてもらっていた僕は、子どもと関わるならこのような環境で関わってみたいと強く思ったものでした。

インターネットの普及により世界中いたるところの情報を得やすくなった社会ですので、サドベリーバレースクールのことを検索したり、書籍や映像を通して色々と想いを馳せていました。

実際に鳥取県智頭町で森のようちえんの次のステージとして「新田サドベリースクール」の活動を昨年度4月からスタートさせて丸一年が経ちました。

活動を通じて改めて感じたこの活動の意義であったり、課題みたいなものを肌身をもって経験させてもらった1年でした。

そこで2年目を迎える前に、実際にアメリカのサドベリーバレースクールの空気に触れて、今後の活動の活力にしていきたいと考えました。

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格安航空券で乗り継ぎを含めて1日半の移動、3日間の視察、また帰りに1日半の移動と7日間の旅程。

火曜日、水曜日と2日間過ごした後、3日目の木曜日は全体ミーティングに参加させてもらいました。

3日間体験させてもらっての感想としては、想像していた以上に子どもたちが自立していたということです。

4歳から19歳が通うスクールですが(在籍170名程度・スタッフ9名)、小さい子から大きい子まで自分(たち)のペースで自分の時間を過ごす。

言葉では聞いていたけれど、実際にここまでとはという印象。

大人(スタッフ)の介入というか、関わりがもう少し頻繁に見られるのかなと思っていたが、スタッフもそれぞれ思い思いに過ごしている感じで、「先生」というよりスクールをきちんと運営、成り立たせるため(子どもたちが安心・安全に過ごせるように)の仕事に重心を置いているような感じを受けた。

もちろん、まるっきりオフィスにこもって子どもたちと関わらないというわけではなく、フラフラと色々な子たちとおしゃべりしたり、という光景も見られた。

それがその環境として、土壌としてとても自然な形で醸成されていた。

各年齢で集団になって1日中各々の活動に従事する。

気の合う子と、居心地が良いと感じる場所で、気持ちの良いと思える活動。

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中で外で

校舎になっている建物には20を超える大小の部屋があり、その子(たち)、その子(たち)でお気に入りの空間がある。

どの部屋にも椅子と机があり、本棚があり。

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静かに「勉強」に取り組んでいる子もいれば、友だちとおしゃべりをしている姿もあり。

外でバスケットボールしたり、秘密基地を作ってみたり、絵や工作に取り組んでいたり。

とにかく、よくみんな喋り、関わっていた。そして平和で秩序があった。

お喋り、学び、遊び、1人で空想に耽る時間、葛藤の時間、そのどれもがその子のペースで認められていて、一切の強要もない。

その分、難しさや厳しさに直面することもあるかもしれないが、でもこういう環境だからこそ、ここの子どもたちはとても自立していて、成熟していて、そして責任感も育まれるのだろうと感じた。

社会と繋がりを感じる空間。

異年齢交流。

そして自立。

インターネットとも子どもは繋がっていて、様々な情報に触れては、自分なりに咀嚼していく。

(メディアリテラシーなど、社会一般のルールにはもちろん則ってインターネットを活用。全館Wi-Fi。)

多くの子が自然とインターネットを使いこなすのだろう。

これからの社会を考えたときにインターネット無しの社会は考えにくい。

現に、ラップトップやスマートフォン片手にインターネットを使いこなす子どもたちの姿を多く見かけた。

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このような自由な空間、「先生」が教壇に立って生徒に教えるという姿が全く見られないことに対して拒否反応を示す人は多いだろう。

実際、このような空間は稀有で、このような「学校」はマイノリティーだ。

だが、ここに通う子どもたちの姿を見たり、実際に話をしたり、自分で身を置いてみると、こんな空間があっても良いと自然と思える。

すごく居心地の良い、安心できる空間だ。

その空間が、自然と「あなたはあなたで良い」と認めてくれているような、そんな優しさや包容力に包まれている空間。

公立の学校になじめずに、転校してきたお兄さんやお姉さんもたくさんいたが、異口同音「ここに来て救われた。」「ここに通うと判断したことが、今までの人生で一番の選択だった。」と気持ちの良い笑顔で伝えてくれた。

人間、認められる体験、経験っていうのはとても大事なんだ。

「あなたはあなたで良いんだよ。」「あなたはかけがえのない存在だよ。」

自分の存在意義を感じることも同様。

1968年創立なので50年は経つ今でも、色々と問題や課題はあるだろうし、社会からの理解が十分かと言われるとまだまだそうでも無いかもしれない。

でも、しっかりと理念を持ち、環境を作り、そしてそこを巣立っていった子どもたちが立派な社会人として自立していて。

やっぱりこんなところがあっても良い。

願わくば、社会がもっとこのような空間にも寛容であって欲しい。

人間は多様だ。社会も多様性に満ちている。学校の形態も多様であって良いはず。

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グリーンバーグさんやミムジーさんとも会えてお話出来たのが嬉しかった。

他のスタッフや子どもたちともたくさんお話をすることが出来た。

3日間、ゆっくり視察出来て良かった。

それを許してくれた家族にも最後に感謝したいです。

どうもありがとう。

たくさん、たくさんの学びと気付きがありました。

それを今後の「新田サドベリースクール」に活かせていけることに喜びを感じています。