共通認識を持つこと 責任を持つこと

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「ニワトリ飼いたい」つづき

「ニワトリを飼いたい」というミーティングが金曜日に行われた。

この日は他のデモクラティックスクール・サドベリースクールから生徒やスタッフがツアーで新田サドベリースクール(以下、新田)に訪れており、ミーティングにも参加し、進行の中で分からないことや、新田ではどうなっているかなどの質問を受け付けながらのミーティングだった。

普段はスーッと流れる様な話題も、スタッフが引率する際にかかってくるガソリン代についての支払いの方法や、提案の中で触れられていなかったスクールへの帰校時間なんかも他スクールの生徒から質問があって、新田の生徒がそれについて応えるという一幕もあった。

普段当たり前の様に過ごしていることが、実は当たり前ではなく、それらについて立ち止まって考える機会が新田の生徒とスタッフの間に持てたことが良かったと思う。

「ちゃぼを2羽飼うこと。」「当日は洋ちゃん宅の車で洋ちゃんが引率すること。」「生徒は5人行くということ」「ちゃぼをもらうのにお金はかからないこと。エサももらえるということ。」などが話し合われて決まっていった。

ガソリン代も今までは鳥取までの遠足には往復で1500円のガソリン代がスクールからスタッフに支払われていたが、グーグルマップで距離数を1つ1つ正確に出して、距離(km)に15(円/km)をかけた金額が支払われるということが確認された。

スクールへの帰宅時間も12時ごろということでミーティングでは確認をとった。

この12時ごろというのも僕が勝手にイメージしてHちゃん(提案者)に伝えていた時間であった。

車も我が家で使っている車を使うということで、その使用に関しての調整を僕が任されて夫婦間で調整を行い12時ごろには帰って車を返せると思うと伝えていた。

結果は前回の記事で記したように、色々な要素が加わったのもあるが、スクールに帰ったのが12時をこえて14時頃になってしまった。

12時ごろに帰れると車の所有者には伝えていたが、車を返せたのが13時30分だった。12時に車が返ってくると想定していたが、返ってきたのが遅かったので予定していた用事が出来なかったとの事だった。

提案者が具体的に活動内容を把握し、意識していたら、もしかしたら計画段階で「12時に帰ってくるのは厳しいんじゃないか。」であったり、当日の活動がおして12時に帰れそうにないときに、「車の持ち主に連絡しなくちゃ」とか「スクールにも連絡しなくちゃ」という意識が生まれたかもしれないが、そういった意識が希薄で(少なくともそういった声が生徒から聞こえてくることなく)、車の持ち主やスクールへの連絡もスタッフ(僕)自身がしていた。

スタッフ(僕)が、生徒たちの考える余地だったり、そこから行う共通理解の場を奪ってしまう事によって、そういった他(外)への配慮が及ばずに、責任感が欠如してしまうことに繋がってしまっていたのかもしれないと思った。(お客様の感覚。先生と生徒というような上下の関係)

帰りの車中で、スクールで今回ニワトリを取りに行ったメンバーとは話をした。

翌日には、車を貸してくれた人からも、スクール宛てに手紙をいただいた。「今まではなんとなく、夫婦間の口約束で車を貸していたが次からはスクールからしっかりと利用目的、利用時間などを申請してもらった方がお互いにとって良いのではないか。」という内容のお手紙だった。

「車の準備や後片付け、遅れてしまったときの謝罪や貸してもらった後のお礼など、全てスタッフの洋ちゃんがしているところにも違和感を感じた。」とも記してあった。

そのお手紙をニワトリを取りに行った翌日にスクール生徒全員の前で1人の生徒が読んでくれた。

それを受けて今後スクールではどうしていったら良いかということも話し合った。みんながみんな意見を表明・発言したわけでは無かったが、今後は手紙に書いてあるようにスクールで申請した方が良いねという話になった。

僕が安易に「いいよ」と生徒からのお願いを請け合う事によって得られるものと得られないもののバランス。

そんな勉強をスクールメンバー全員でさせてもらった。

「やりたい」に対して「どうやったらそれが出来るか。」と考え実行していく力がここのスクールを巣立った後に「生きたい様に生きていく力」を養っていくことに繋がっていくかと思っているが、丁寧に「どうやったらそれが出来るか。」ということに目を向けながら日々の生徒の活動に丁寧に向き合っていきたいと強く感じた。

「自由」と「責任」のセット。それを日々過ごす時間の中で感じながらあれたら良いなと思う。

ここに通う生徒は本当に毎日毎日楽しそうにイキイキと過ごす子が多い。そんな時間を多く過ごしていると思う。そんな活動が心地良く出来るように、みんなで作っているルール(校則)がある。そのルールをしっかりみんなでチェックし合う事、それを丁寧にやっていくことは日々の日常でまず出来ることの1つだと思う。(自由と責任のセット)

またやりたい活動に際しても、提案者(活動の主体となる人たち)がいかに細部まで話を詰めて、共通認識を持つかということもポイントになってくるかと思う。

そんな教訓をみんなで味わい、今後もみんなでチェックし合いながら、影響し合いながら共に成長していく、そんな場にどんどんなったら良いなと思っています。

文: スタッフ 長谷洋介