いつもよりゆったりとしたが流れていく。
3時の掃除の時間もそのままお泊り会へ移行すると言う事で無しになり、Aちゃんの発案のもとに椅子取りゲームからのフルーツバスケットが始まる。
最初は5人くらいでスタートしたものがだんだんと「私も参加する。」「俺も参加する。」と最大で12人くらいのフルーツバスケットの輪が出来た。
それぞれ個々だったり小さなグループで活動することも多いが、こうして大勢で1つのことを楽しむというのもそれぞれの個性が光ったりお互いを知る上でも楽しかったりする。
僕にもお声がかかり、久しぶりにフルーツバスケットを楽しんだ。
お泊り会から参加のOBのSrちゃんも加わり盛り上がりに盛り上がり、4時30分までフルーツバスケットを楽しむ。
僕の最大の関心事は食事のこと。
「その場の雰囲気でやりたい人が声を掛け合ってやっていく。」「お泊りの提案者が中心になって声をかけていく。」という方向性が朝の会で共有され、僕はお任せモード。
5時過ぎ頃から「そろそろピザの準備する?」との声がYちゃんから上がり、その声につられて4,5人がピザ生地を作ったり、家から持ち寄った野菜を切ったりとし始める。
買い物リストにはドライイーストは入っておらず、薄力粉をこねて少し寝かせるだけというレシピの様だった。
試行錯誤しながら、相談しながらこねて形にしていく姿が印象的だった。
「お腹空いたぁ」という声が聞こえてきだした7時過ぎ、Yちゃんから「ピザあとは窯に火が入ったら焼けるよぉ!」との声がかかり、Ktくんが窯の担当に立候補し、火をおこし始めていきました。
当初は窯を2台借りてくる感じで話していたけれど、スクールにある鉄板が1枚しかないことが分かり、急遽窯も1台に。
火をガンガンに焚いて温度を上げたら1,2分でピザが焼けるという経験を元に、その様にチャレンジしていく生徒たち。
クッキングシートの上でピザを作り、それを鉄板の上に乗せて窯で焼く。
その行程もなかなかに難しいみたいで、「どうしたらいい?」「どうしたらいい?」と頻繁に声が上がりながら、その都度相談しながら作業の工程を確認したり、効率化を図ったり。
窯の火も最初はKtくんはじめ3,4人で担当していたが、後半はKtくん1人がずっと窯の前に陣取ってはみんなのピザを焼き続けていた。
Ktくんも後半になってくると「疲れたぁ。」「ピザ職人さんって大変だなぁ。」とか窯の熱さと格闘していました。
何人かの子が「Ktくん、他の人に代わってもらったら?」と心配して声掛けしていましたが、「いや、大丈夫。」と言いながら多くの子のピザを焼き続けました。
火加減の具合だったり、1枚のピザから次のピザを焼く間の時間が間延びしたりで、次々焼いて・・・という具合にはなかなかなっていきません。
最初ピザを食べた子は8時過ぎでしたが、最後の子は12時頃でした。
早く食べたいっていう気持ちはありつつも、なんだかそのペースをみんなが受け入れている様でもあって、ピザを焼く順番を決めながら、気長に違う事をしながら自分の順番が来るのを待っている様子でした。
途中、自分たちでサプライズで焼いたクッキーを皆で食べたり、買ってきたフランクフルトをフライパンで焼いて食べたり、ジュースをあけて飲んだり。
僕は外でKtくんの近くにいましたが「洋ちゃん変わってぇ!」とか「洋ちゃん助けて!」とかヘルプが入る事もなく、自分たちの力で淡々とピザ作りをしていました。
生地がゆるくて鉄板に乗せるのが難しかったり、火力がうまく上がらなくてなかなか中まで火が通らなかったり、色々困難があるようでしたが、不平・不満や文句を言う子はおらず「火が通ってないけれどKtくんが一生懸命やってくれているし。」と気遣う声が聞こえて来たり。
例えば僕が手を出す事で、色々な事が簡単に出来てしまうことも、手を出さないことで色々なことが見えてきます。
「火つけは何を使ったら良いんだろう?」→火つけようの紙とロッジの横に積んであるスギ葉や小枝を利用。
「薪はどれを使ったら良いんだろう?」→ロッジの前と後ろに割って積んである薪を利用
「ドラム缶が熱いけれどどうしたら良いだろう?」→ロッジの横のキャビネットに置いてある軍手を利用
「どうやって焼いたら良いんだろう?」→みんなで相談しながら試行してみる
「お腹が空いた。」→「お腹が空いた。」と言えば「どうぞ。」とピザが出てくるわけでは無い。どうしたら良いか考えて行動する。
メンバーたちはそれぞれ、自分たちで出来る範囲でピザを焼き、自分たちのペースで準備して食べて片付けて遊んで(オンライン生配信見たり、ホラー映画を見たり)とやっていた。
「こうじゃなくちゃ失敗」と予め用意された正解があるわけでは無くて、自分たちに出来る最善をしてあとはなるようになって、その中で楽しむ。
いつもは手っ取り早い「カレー3食(晩・朝・昼)!」が定番だったけれど、「カレー飽きたね。」「ピザしよう!」となって迎えた今日。
久しぶりのドラム缶窯を使ったピザ作り、慣れない部分も多々あったかもしれませんが、上手に出来ない部分をみんなで共有できたからこそ次に繋がる部分もあるのだと思います。
何事も自分事にすること。
結果次回のお泊り会は「カレーが良いね!」になるかもしれないし、「今度は鉄板を用意して回転を早くしよう!」と改善点を探るかもしれないし、「それぞれでご飯は準備しよう!」になるかもしれないし、食事係・片付け係などきっちり決めて責任持ってその人が担当する(過去にはそんなスタイルでやったりもした。)になるかもしれない。
「つまらない」と何人かの子がつぶやく場面もありましたが、そんな「つまらない」も含めてどうしたいのか。どうしたら良いのか。
「お泊りがしたい!」
とシンプルな提案で始まった今回のお泊り会。
これから朝ごはんはパン工房あいさんのパン、昼は素麺を予定しています。
「流しそうめんがしたい!」と切り出してきた竹は用意されていますが、どんな風になるでしょうか。
手出し口出しするのは簡単
手出し口出ししないのは難しい
その匙加減にいつも悩みます。
文:スタッフ 長谷洋介