「仕事」は真剣な「遊び」である。

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鳥取県は大雪の年の瀬となっています。みなさまいかがお過ごしでしょうか?
今日は今月印象に残った生徒の活動をご紹介します。
今年度は週に一度、会計委員会のメンバーがスクールの会計に関する業務を行っています。
当初はスタッフのみでスタートした会計委員ですが、現在は12歳、10歳、9歳のメンバーを含む6名で活動しています。
メンバーは二人ひと組で毎日午後3時にスクールの現金残高を確認します。
その他、会計ソフトにレシートや入出金伝票を入力したり、エクセルを使って予算を立てたり学費の納入状況を管理したりしています。
果たして、彼らは純粋に「会計の仕事がしたい!」という理由からメンバに加わったのでしょうか?
私は、そうではなかったと思います。
「裏紙に、レシートを綺麗に貼り付けるのが楽しそう!」
「電卓でパチパチやってみたい!」
「エクセルの表計算で、自動計算するのが面白い。」
「会計ソフトに入力するのが、お仕事ごっこみたいで面白そう。」
と、「わーい、わーい」とスタッフのお手伝いから始まった作業。
それがいつの間にか、
「私、伝票入力するから、ソフト立ち上げて!」と、あっという間に入力方法を覚えてパタパタと打ち込んでいたり、
「あ、今日僕金庫確認の日だ。一人でやっておくね。」と、誰に言われなくても日々の現金残高を確認していたり、
「私データ入力しちゃうから、終わったものからレシート貼ってくれん?」と、生徒同士で作業を分担したり、
みんなで一つのテーブルに集まって作業している様子は、さながら立派なオフィスワーカー。
その中で一緒に作業していると、大人にとっては仕事だとしても、彼らは「遊び」の一環として取り組んでいることがよくわかります。
ワクワクして楽しいことだから…、友達と一緒に取り組めるから…、「遊び」とか「仕事」とかわけて考えることなどあえてせずに、ただただこなす。
きっと人類は太古の昔から、狩りや採集、様々な道具作り、作物や家畜の世話など、子どもたちは遊びながら大人についてまわり、
生きていくのに必要な技術や仲間とのコミュニケーション方法を身に付けていったのでしょう。
そのような機会が極端に減り、多くの社会で「遊び」と「仕事」が明確に区分される現代。
人類にとってはほんの最近始まったこの試みの中で、子どもたちは将来の「仕事」について楽しみや期待を抱くことができているのだろうか?と気になります。
ボストンサドベリースクールのファウンダーの一人であるダニエル・グリーンバーグ氏の著書に、次のような一文があります。
『子どもたちは皆「遊び」を自分達の実存の現実と見ているのだ。
「遊び」とは子どもたちにとって、混じり気なしの、妨害されることのない、モデル作りであり、問題解決であり、社会化であり、組織化であり、創造であり、革新であり、手の届く範囲における全世界であるのだ。子どもたちは「遊び」に完璧に夢中になる。あらゆる細部に対して鋭い視線を注ぐ。うまくいけば高揚し、失敗すればしょげ込む。「遊び」は好ましくない活動であると思い込むことなく成長することを許された子どもたちは、大人になっても「遊び」を最後まで継続することができる。さらなる成長のための道具にすることができるのだ。』
新田サドベリースクールは、来年1月14日までの長い冬休みに入りました。
コミュニティのメンバーが集うこの時期、どの子どもたちものびのびと遊ぶことを許されることを願っています。
2018年も新田サドベリースクールに興味を持っていただき、時にご意見をくださり、様々にご支援をいただき、大変ありがとうございました。
新しい1年も、どうぞよろしくお願いいたします。
【文・佐藤陽子】