新田サドベリースクールの開校時間は9時~15時30分です。
朝来てから、夕方帰るまで、その日その時生徒が「したい」と思う事をとことん積み重ねていく場所です。
時間の使い方は生徒に全て委ねられています。
自分の時間を過ごします。
時間の過ごし方は全くの自由ですが、好き勝手なんでもして良いということでもありません。
新田サドベリースクールにはみんなが居心地良く過ごすために必要な分だけルールというものを設けています。
これらのルールも大人が管理しやすいように設けたルールとかではなく、ここで過ごすメンバー(生徒・スタッフ)が必要と思われるルールを考え、話し合い、設定しています。
たくさんルールはあるのですが、一番意識されているなと思われるルールの一つに
「人の嫌がることをしない、言わない」
というものがあります。
このルールに限ったことでもありませんが、もしルール違反があった際には、「ルール違反の紙」というものがあって、それに内容(どういったルール違反があったか)を記載して、毎日9時30分から行われる朝の会の後にそのことについて話し合われます。
今年度に入って1度もその紙が提出されることはありませんでしたが、先週に立て続けに数枚提出されて、話し合いの場が持たれました。
「Hくんに自分のパソコンの時間を邪魔された。「やめて」と言ったのにやめてくれなかった。」
ルール違反に対しては「相談員」と呼ばれる生徒2名スタッフ1名(持ち回り)がその内容について聞き取りをして問題の解決を図ります。
Hくんは上記のパソコンの件以外でも、自分のものを床に散らかしっぱなしで注意しても片付けてくれないなんてものも提出されていて、それらについて話し合いがもたれました。
その時には、生徒がHくんに注意したり、声掛けしても「うるせー」「は?」なんて返事が返ってきてなかなか行動が改善せずに、しびれをきらした生徒がルール違反の紙を提出したという形でした。
「相談員」の生徒が話し合いの場でHくんの気持ちを聞いていると、Hくんにも言い分がありました。
パソコンは自分の番(30分の枠の中に自分の使用したい時間帯を記入して使用する。)の時にも前の人が終わるのが遅くて自分の時間が短くなった。
自分の持ってきたおもちゃが出しっぱなしになっているのも、自分のロッカーが既にいっぱいでしまう場所がない。
などが彼の言い分でした。
自分の言い分を聞いてもらう場があって、Hくんの硬直した態度も柔らかくなり、「じゃあ、どうすれば良かったかな。今後同じようなことが起こらないためにどうすれば良いかな。」
と建設的な話し合いに移行していきました。
感情的に「Hくん、やめてよ!」「しっかりして!」「ちゃんと片付けて!」と迫っても自分の意見を聞いてもらえずに反抗的な態度をとってしまう彼も、聞いてもらえるだけで、柔らかくなったりします。
困ってルール違反を提出したHちゃんも納得して、話し合いを終えることが出来ました。
いかにメンバーが気持ち良く毎日を過ごせるか。
自分の時間を過ごせるか。
メンバーで協力し、ルールを守りながらあれたらなと思います。
先月から畑チームがサツマイモを植えて、育てています。
どうしたらシカに入られないかなと柵を一緒に作っていたり、
水やりはどうしよう?と近くの水路からジョウロで水を汲んで水やりをしていたり。そうしたら、はじめさん(畑を貸してくれた)がホースを持って来てくれて、水路から直接水やりが出来るようになったり。
はじめさんが刈ってくれた草を草マルチにしよーといって利用していたり。
はじめさんだけでなく、他の近所の人も子どもたちの栽培の様子を温かく見守ってくれているように感じます。
収穫までシカに襲われることなく、無事に収穫出来ることを願っています。
チームとしてはサツマイモと大豆を植える予定だそうです。
その他に個人的にカボチャやバジルを植えている生徒もいます。
先週はカプラを家から持参したIちゃんを中心にカプラ遊びが流行りました。
一つの作品を作るのでも個性が出て面白いなと感じました。
Kくんはカプラをしてもやはり頭脳派です。
週に1~2回、新サ会(新田サドベリースクール会議)を行い、そこでスクール全体に関わること(ルールのこと、遠足の事、買いたい備品のこと、など)を話し合いますが、その限られた時間ではなかなか決まり切らないことは会議の外でも話し合われています。
最近では「ビジター・準メンバー・体験・休学中の生徒に対して、新サ会での提案権・発言権を与えた方が良いか否か」について話し合っています。
正メンバーとは?
準メンバーとは?
どんなスクールにしたいのか?
誰の為のスクールか?
そもそも、準メンバーとかビジターとかいう制度はいるのか?
などなどなどなど
ホントに色々な事が話し合われています。
日常的にとりとめもない会話を楽しむのも良いですが、こういう真面目な話を生徒同士、生徒とスタッフで話するのもとても有意義なことだと感じています。
関係性を築いていく中で、自分たちのスクールをより魅力的なモノにしていく姿勢がどんどん出てきたらそれがまたエネルギーになっていくのでしょうね。
楽しいですし、楽しみです。
ほんとにちょっとずつかもしれませんが、スクールが自分事になってきているように感じています。
生徒たちには恐れず色々な事にどんどんチャレンジしていって欲しいと願っていますし、そんなチャレンジをしやすい環境をスタッフとしてどんどんお手伝いしていけたらと思っています。
日常的に抱えていることが、ちょっとずつ外に出て来ているように感じますし、外に出てきたときにはどんどん形にしていけたら良いなと思っています。
キャンプに行きたい
アスレチックを作りたい
小屋を改造したい
薪割りをして冬用の薪を確保したい
ブランコを作りたい
ダンスの先生に来てもらってダンス頑張りたい
韓国語の勉強がしたい
チャレンジする姿に周りのみんなも触発されることも多いでしょう。
「ワクワクする毎日」をキーワードに最近生徒と一緒に時間を過ごしています。
【文・長谷洋介】