じぶんごと

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スクール開校当初から「いかにじぶんごとにしていくか」というのはテーマにしてやっているように感じています。

学校(勉強)ってどこか与えられるものだったり、教えられるものだったり、先生の言う事を聞くことだったり、受け身的な場面(思い込み)が多いように思いますが、サドベリースクールをやっていくにあたって、この受け身的な姿勢をいかに主体的に(じぶんごとに)していくかというのは1つの大きなポイントだと思っています。

木曜日、戸締りをして帰ろうと思ったら「あれ?鍵穴に鍵が入らない!」という事がありました。ちょっと見たら鍵穴に何か不具合が見受けられました。そういえば昨日なんか生徒数人が鍵閉めたり開けたり、鍵閉められた子が針金で開けようとしていたり、とそんな遊びをしていたなぁと思いだしながら、その時は時間もなかったのでそのまま帰りました。

翌朝、ちょちょっとやって直るかなぁと道具片手に向かって見ますが、一筋縄ではいかない様子。どうしたもんかなぁ、こりゃ業者さんに頼んでしないとダメかなぁ・・・なんて思いながら、朝の会で困りごととして相談、そして「スクールの物を大切に扱う」というルールに違反しているのでは、とルール違反の紙に書いて提出し、その紙の「どうしてほしいか?」の部分には「話し合って対処してほしい。」と記載することになりました。

朝の会が終わり、ルール違反についての話し合いが相談員3人を中心にして行われました。

IMG_6432「昨日ドアで遊んでいた人たちに来てもらおう」となり、ぞろぞろと心当たりのある人たちが部屋にやってきます。

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部屋からは色々な意見を出し合っている声が漏れ聞こえてきます。

「○○がやってた。」「○○も一緒にやってたじゃん。」「○○がやってたとか、やってないとか言い合ってても意味ないでしょ。」「洋ちゃんが朝やってみて直らなかったなら無理じゃない?」「ごめんなさいって謝って、業者さんに頼んで直してもらう?」「自分たちでやってみたら?」・・・喧々諤々

そして現場に向かうメンバーたち

IMG_6440「ここの金属の部分が何故か落ちていて、それで鍵が入らなくなってるんだよなぁ。」

「誰かがそこを上に上げている間に瞬間接着剤とかで固定するとか?」・・・などなど、色々頭を使いながら道具を使いながら体を動かしながら口を動かしながら向き合うメンバーたち。

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「もう無理でしょ。」「○○くんが来てからまた話あおう!」と離れていく数名。その相談員との会も残りの当事者であった生徒の登校を待って再度話し合うということで、一旦散会することに。

でも、その生徒が来るまでもちょっと取り組んでみたいという、Tくん、Kくん、Iちゃん、Yちゃんを中心に、粘り強く鍵穴に向き合うメンバーもいました。

一通り外から出来ることを試してみて、「これは外からのアプローチじゃ無理だ。」と感じた後に、「ちょっとこのビスを外せば鍵穴自体がとれるんじゃない?」「分解してみようか」と鍵穴自体をドアから外し始めるメンバーたち。

分解してみて「ここがこうだから・・・」「これがもっとこうなったら・・・」とか話し合う声が聞こえてきます。

「ま、ちょっと分からないけれど、ワンチャン(one chance)もう一度取り付けてみたら使えるようになるってこともあるかもよ。奇跡おこるかもよ。」とKくん。

他のメンバーも半信半疑ながら、他に打てそうな手もないし、という事でそのワンチャンスにかけるような感じで元に戻していくと・・・・

「直ったーーーーーーーーーーー!」

とメンバーから歓声が。

なんと、鍵穴が直り、元通り使えるようになったのでした。

修理に取り組んでいた4人の喜び様と、一体感・達成感はそれは素晴らしいものでした。

正直僕は、「無理だ。どこの業者にお願いしたら良いかな。」「生徒たちが分解始めたけれど、直らなくても、業者に頼むんだったら一緒か。」なんて内心思いながら、粘り強くドアに向き合っている生徒を見ていました。

いや、ホントに凄いなと思いました。

自分たちが遊んでいる中で壊してしまった。どうしよ?直せるかな?やってみよう!

仲間と一緒にあーでもないこーでもないと頭をひねりながら。

「あぁこれで業者に頼んでお金を払わなくてよくなった!」「プロがするような仕事自分たちで出来たのってすごくない?」

一生懸命取り組んだ生徒の中から達成感と自己有用感が滲み出ていて、良い経験だったなとしみじみ思いました。

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昨日は外で遊ぶ子も多かったですが、今日は室内で過ごす子が多く「みんな画面が好きだよね。」とボヤキながら外でブランコを改良するTくんの姿がありました。「ゲームも楽しいけれど、それ以外のこともやりたい」という想いを抱く子もいます。「自分は何がしたいのかな、何が出来るのかな、どう時間を過ごそう。」そんな事を常日頃考えながら過ごす毎日です。

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去年度作った竹のブランコ。「もっと高いところからこげたらたくさん揺れて楽しいかも」とその構想を温め続けていたTくん。

新田のおじいさんに竹を2本伐らせてもらうお願いをして材料を調達し、ブランコの脇に台を作り始めました。

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角度や高さを調整しながら。

自分で試運転しながら、これでだいたい良いだろうという段階になって、室内にいるKくんを誘いに。運動神経の良いKくんなら自分の作った台を上手く使いこなしてくれるんじゃないかという思惑があったみたいです。

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案の定Kくんは身軽にホイホイと上段まで登り、ダイナミックにブランコをこぎます。

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「たーのしーーーーー!!」のKくんの叫びにTくんもご満悦。

「他の人も誘ってこよう!」と2人で相談し合い、続々と中にいるメンバーに声をかける2人。

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慎重派のAちゃん。「私は2段くらいが丁度いいわ」と低いところから段々と上に挑戦していったり。

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割と大胆なYちゃんは最初から上の方からチャレンジしたりと、この後も何人もチャレンジしては、そのチャレンジの仕方に人柄がとても表れていて面白かったです。

作ってみると色々課題・改善点が見えるようで、「今度はこうしてみよう。」とTくんの中には既に新たな構想があるみたいです。

身近にある材料を使って楽しむTくん。

ブランコの次は竹で小屋を作ってみたいそうですが、その構想はいつどのような芽となって出てくるでしょうか。

楽しみに見守りたいと思っています。

文: スタッフ 長谷洋介