新田サドベリースクールは鳥取県智頭町の山奥に拠点を持ち日々そこで時間を過ごしています。
決まった年間行事というものは特になく、自分たちで何かを「やろう!」と思い計画しない限りは常にこの山奥で過ごす事になります。
この山奥の環境が特に居心地悪いということも無く、生徒のみんなは毎日楽しみに登校してきます。
ただ、何か「外」に出ていこうと思ったときには、受け身の状態では誰も何も与えてはくれません。
やりたくもないことをやらされる、行きたくもない所に行かせられる、ということも無い代わりに、「やりたい」「行きたい」と思ったときには自分の頭で考えて、身体を動かして実行しないとそれらは実現しません。
大人になって、社会に出たときには、誰かが自分のやりたいこと、行きたいところに導いてくれるわけでは無く、自分でやりたいこと、行きたいところへ行く、ということを考えれば当たり前の事かもしれませんが、サドベリーではそれを小さいころから経験し、姿勢として身に染み込ませて行くという事なのかもしれません。
Tjくんは「氷ノ山にスキーに行きたい」と他にもスクールメンバーで行きたい人を募り、希望する生徒たちが集まり、計画を練っています。
最初は4人が手を挙げ、それらが提案され承認されましたが、後から、「やっぱり私も行きたい」「僕も○○が行くんだったら行く!」など人数が増えてきました。
人数が増えた分、当初予定していた車の乗車定員を超えてしまい、Tjくんを中心に「どうしたものか?」と頭を悩ませる日々でした。(正メンバーだけで乗車定員が超えて、ということならば、単純に車とスタッフを手配して、という風になりそうですが、準メンバー、仮入学の子たちも参加するのに、安易に車とスタッフを増員してその分費用がかさむのはどうなんだろう?とか、そもそもスキーの引率をその日に頼めるサポーターさんがいないんじゃないか、とか。公共交通機関を使う手はないだろうか?とか。保護者さんに協力をお願いしようか、とか。とか。)
「スキーどうしたら良いか考えたいからスキー行く人集まって」と声をかけても、「えー、今はちょっと無理」とか「何分で終わる?」とかいう反応が返って来たりしていて、積極的に計画しようとしている人たちに対して、「なるべく楽して参加したい」という人たちとの温度差を傍から見ていて感じました。
一生懸命、計画しようとしている人たちはなかなか苦労しながらも、調整して、昨日なんとか今の状況で再提案するところまでこぎつけました。
・誰かが調べてくれて、お膳立てしてくれるなら是非行きたいという子たち
・調べたり、話し合ったりするのは苦手だけど、行きたいから話し合いの場には常に参加する子たち
それぞれがそれぞれの立場を尊重しながら、目的に向かって行く姿がそこにはありました。
(積極的に計画する子たちだけで行ったら簡単なんでしょうが、子ども達の中にはなるべく大勢で行った方が楽しい!という気持ちもあるみたいです。その辺のせめぎ合いも見ていてありました。)
僕自身も「ちょっと話し合いの場にいてくれる?」と頼まれて同席した時もありましたが、「行きたいのはこの子たち。」と色々と出しゃばって助言したい気持ちを抑えつつ進行を見守っていました。
ホントに色々な事を経験しながら、それが経験値として自分にフィードバックされる。
やったことしか自分には残らないのだと思います。
どこにいても、何をしていてもそう。
どこで、何を、どんな風に経験するか。
メンバーの中には、後から「やっぱり行きたい!」と参加してくる子もいれば、「やっぱり行かない。」と途中で参加を見送った子もいます。
「えー、一緒に行こうよ!」など色々メンバー間でのやりとりもありましたが、その子その子の判断を尊重する姿もあったように思います。
○○をしているから良し、していないから悪しというような評価はここには存在せず、どんな判断をして活動していても概ねお互いを尊重し承認しあっているように思います。
今のところ生徒7人の参加がありそうです。
今日の定例の新サ会にて再度修正された案が提案される予定です。
文:スタッフ 長谷洋介