遠足部が、鳥取県が日本に誇る国宝の「投入堂」への遠足を計画した。
いつものように日時・ガソリン代・集合・解散・持ち物などを提案し、検討して遠足は計画された。
結構険しい道ということで、現地に電話して「小学生のグループだけれど大丈夫かどうか」も確認した。
その日は雲ひとつ無い晴天で、絶好の遠足日和であった。
紅葉も今がMAXでこれ以上無いくらいのコンディションだったのではないだろうか?
参拝料を払い、入山口まで登っていきいざ入山!という時に靴裏のチェックがあった。
スクールでは動きやすい靴という風に確認して当日を迎えたが、想像以上にチェックが厳しく(しっかりと溝があるかどうか。)数名の子が「これでは入山の許可が出せません。」という風に言われた。
まさかそこまで厳しいなんて誰も想像していなかったので、「どうしよう?」とその場で円座になって作戦会議が始まる。時間にしたら20分くらいだっただろうか?
係の人が「そのスニーカーでは無理だから900円の草履を履いて登ってください!」と言われて
「でも、私は絶対草履は無理!」とTちゃん
「俺の靴をTちゃんに貸して、俺が草履で登ろうか?」とTくん。
「でも、そもそも900円かかるのどうする?3人分で2700円するけれど。」
「翌日の新サ会で事後になるけれど、提案する?」「通らなかったら?」
「そもそも草履に履き替えてまで登る?草履で登れる?」
「入山OKチームだけで登って、登れない人たちは下で待っておくとか?」
「みんなで登らないとちょっとつまらない。登れない人たちを下に残して登ることは出来ない。」と登れないメンバーの気持ちを気遣うシーンがあったり。
結局投入堂は断念して、近くの公園でみんなで遊ぶという選択をしました。
誰の気持ちを置き去りにすることなく、登れなくて残念な気持ちや悔しい気持ちなどを抱えながらも、みんなで納得のいく答えを導いていく姿は見ていて頼もしいものがありました。
人生は予定した様には進みません。
生きていたらいくつもの大小のイレギュラーバウンドに直面します。
それは個人の問題の時もあれば、集団の問題の時もあります。
民主主義とは、1人の気持ちも置き去りにすることなく、みんなが納得できる「一般意志」を見つけ出して、それを選択し行動する様だと思います。
そんな練習を普段からしているみんなだから、今回も想定外のことが起こった時に慌てずに、1人の気持ちも置き去りにすることなく、合意形成のプロセスを歩むことが出来たのでは無いでしょうか。
「せっかく来たのになぁ」って残念な気持ちは大なり小なりそれぞれあったでしょうが、投入堂に登ることに匹敵するくらいの経験が出来たのではないかなぁと感じました。
お馴染みの布施の公園へ行ってそこでみんな楽しそうに遊びました。
文:スタッフ 長谷洋介