さよならくりぼう 1002

IMG_1859
LINEで送る

金曜日

新しいロッジでの活動にウキウキなメンバー

基地作りをしたり、天気の良い外にお散歩に出かけたり。

「朝の会」

議題の1つは「くりぼう」をどうするか。

一晩考えてきて

・山に返す

・食べる

・大きくしてから食べる

という3つの立場で議論(意見交換)がされました。

「山に返してもどうせ死んでしまうのだったら殺して食べた方が良い気がする。」

「大きくしてから・・・っていうのは結局その間の飼育の問題があるから難しいと思う。」

「食べたい!」

「殺すのは可哀想だから、殺したくない。山に返したい。」

「くりぼうを殺すのは可哀想。食べるならもっと大きな個体を罠で捕まえて食べたら良い。」

・・・などなど

想いのある子はそれぞれの意見を立派に発表しながら相手の意見にも耳を傾けていました。

僕は子どもたちのやりとりを聞きながらもうずいぶん前に小学校でブタを飼って「食べる」「食べない」という命の教育を行った先生・児童のことを思い出していました。

妻夫木くん演じる映画にもなったものです。

短い間だったけれど、「くりぼう」に対する想いは子どもたちの中で多かれ少なかれ沈澱し、色々自発的に意見交換するまでになっていました。

あぁ とても良い時間だなと思いながら子どもたちの発言を僕は聞いていました。

僕自身としては、子どもたちがどう考え、どう行動するかというところに興味があり、見守ってみたいなという想いが強かったので、僕自身の(あぁ飼ってみたいなぁ。飼って首輪とかつけて散歩とかしたら面白いなぁ。とか、シートンが野生の熊のあかちゃんを保護して育てて野に返していく物語を思い出したり。)色々な想いを抑えながら見ていました。

結局、飼うのは難しい。イノシシの肉を食べたいなら罠を仕掛けてもうちょっと大きな個体を捕まえて食べよう。というところに落ち着いてお昼ご飯を食べたらくりぼうは山に返すことにしました。

軽トラックの荷台に載せて、僕が山に返しに行ったのですが、

「山に連れていったら、くりぼうにこれをあげてね。」と自分たちが剥いた栗を僕に渡したり

軽トラックでその場を離れる際も、

「ばいばーい くりぼう!」などいつまでもいつまでも手を振りながら見送る姿があったり、泣きだしてしまう女の子がいたり・・・。

まるで映画のワンシーンかのような光景でした。

IMG_1859

くりぼうは、どんぐりの木の下、小川が流れているところに返しました。

返しても、山に駆けて帰っていく様子も無く、子どもたちからの栗をバクバク食べたり、僕に寄り添ってきたりで、ホントに別れが寂しくなるような、そんな感じでした。

元気に生きていってほしいですが、野生のイノシシの1歳以下の死亡率はとても高いみたいですね。

特にくりぼうのような母親と別れてしまったような個体は難しいでしょう。

あぁ、心が揺れました。

元気に生きてね、くりぼう。

でも、人間の畑は荒らさないでね!

新田のはじめさんには「なんで山に返した。殺して食ってしまやぁええだが。」と言われました。

色々な立場の色々な考えと意見。