智頭町議会を傍聴してきました。

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本日智頭町議会の一般質問にて新田サドベリースクールについての議題がありました。

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その情報を先週受けて、「町議会にて新田サドベリーの事が質問されるみたいだけれど、参加してみたい人いますか?」と呼び掛けたところ7人の生徒の手が挙がりました。

町民による選挙で選ばれた町議さんが、教育長にどのような質問をするのか。

そして教育長がどのような答弁をするのか。

自分たちが通っているスクールが議会という場でどのような話をされるのか。

参加希望した生徒は7歳から13歳の生徒たちでしたが、それぞれに想いを抱きながら参加してきました。

DSC_04159時40分からの質問でした。

町外から参加の生徒もあったので、登校後すぐに議会に向かってギリギリでした。

議会入場前に、傍聴にあたっての注意事項を受けてから入場。

他にも傍聴する人たちが何人もいましたが、事前にお知らせしていたからか、ちょうど前の席1列があいていてそこに座らせてもらい傍聴してきました。

傍聴できる定員が24名でしたが、ちょうど座ることが出来て傍聴することが出来ました。

「新田サドベリースクールは最初は土日開催であった。土日開催だったら大いに応援出来るが、平日開校というところにひっかかるものがある。」(議員)

「新田サドベリースクールに通う生徒たちの保護者は就学義務の履行ができていないんじゃないか。」(議員)

「10月25日に文科省から出ている不登校児童生徒の支援に対する通知を全部読んでみて、「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、と書かれているが、それでも全部読む中でなるべく学校にて学べるようにという風に私には読み取れる。」(議員)

「今も県外から学びの選択肢のうちの1つとして、新田サドベリースクールを目指して移住してくる家庭が後を絶たない。そのような家庭には多かれ少なかれ保護者の思想信条というものがあるのだと思う。教育委員会もそのような家庭とよくよく対話を続けていきたいと考えている。」(教育長)

「教育委員会としても、スクールと対話をしながら、学校復帰を目指し、フリースクール認定をとれるような施設に変わってもらえるようにと思って話を進めている。」(教育長)

他にももちろん、色々な話があったが、そんなような内容の答弁が20分ほど行われた。

傍聴後、すれ違う人すれ違う人に挨拶しながら帰りの車に乗り込む。

生徒たちがどんな話をするのかなと耳をそばだてていると

「議会あっという間だった。」というYちゃんの声を皮切りに

「割とネガティブな感じだったね。」Yちゃん

「1つ声を大にして言いたいことがあって、親がサドベリーに通わせているという風に言っていたけれど、それは逆だから!親は「学校に行け」「学校に行け」と言うけれど、俺が「どうしてもサドベリーに通いたい」ってお願いして通わせてもらっているんだから。」(Kくん)

「親に「ここに行け」って言われて来ている子だったらこんなにみんな毎日来ないよね。」(Kくん)

「大人も子どもをサドベリーに通わせていたら新しい価値観との出会いがあるよね。そしてサドベリーに通っているみんなは幸せだよね。」(Yちゃん)

生徒の中で、傍聴を通じて色々と感じる事があったようです。

僕も一緒に傍聴させていただいて、まず、子どもたちが自分たちで「議会を傍聴したい。」と思うということが凄いなと思いました。

自分たちに関することだったからでしょうが、自分たちの通うスクールが議会の話題にあがることで、この度議会傍聴という機会に恵まれてとても有難かったなと思います。

話題も20分くらいということもあったでしょうし、自分たちの事が話題にされているので、とても分かりやすかったようです。

逆に後半の自分たちと関係ない質問に移ってからは、「眠くなっちゃった。」という子もいました。

「就学義務」に関しては、「保護者が自身の思想信条により、子どもの状況や意志とは関係なく新田サドベリースクールに通わせている」という間違った理解やイメージが町民に伝わっているんだなと感じました。

「地元の学校に通いたい。そこで勉強したい。」と思っている子に対して学校に通わせないという行為は「就学義務違反」に大いにあたる行為だと思いますが、「学校に行きたくない。」という子どもに対して、

「児童生徒の才能や能力に応じて、それぞれの可能性を伸ばせるよう、本人の希望を尊重した上で、場合によっては、教育支援センターや不登校特例校、ICTを活用した学習支援、フリースクール、中学校夜間学級での受け入れなど、様々な関係機関などを活用し社会的自立への支援を行うこと。」(「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日 より)

上記にあるように柔軟な対応でもって「子どもの学習権」を保証していくことが社会に求められていることだと思います。

僕自身もスタッフとして長年関わっていて、なかなか理解してもらえない仕事だなぁ。誤解される仕事だな。難しいことがたくさんあるな。と感じながら関わっています。

決して、公立の学校を否定しながらこの活動をしているわけでは無く、公立の学校で児童生徒が満足感を持ちながら充実感の内に学校生活を送れることが良いことだと思っています。(家庭の経済的な負担少なく子どもの学習権を保証していけるわけですし。)

学校教育の最前線の多くの先生方も日々大量の業務をこなしながら子どもたち1人ひとりのことを思いながら子どもたちと向き合っている事と思います。

フィンランドの公立学校に関する映像を観ていいなーと思ったり

オランダの多様な学びが保障されている社会システムを書籍などで読んでいいなーと思ったり

日本の公立中学校の生徒に応じた教育の実践を見たりすると、日本の教育も変わってきているなーと思ったり。

今日質問された議員さんも、答弁された教育長さんも、思う事は一緒で「子どもにとって良い教育環境を作っていきたい。」「子どもにとって不利益がないようにしたい。」ということだと思います。

誤解されている部分などは丁寧な対話なしにほどけていかないと思いますし、新田サドベリースクールも平日活動を始めて5年目になっています。

発信を積極的に行いながら、多くの人に知ってもらい、そして応援してもらいたいなと願います。

今日質問された議員さんとも直接お会いしてお話出来たら良いなぁと思いました。お忙しいでしょうし、お手紙を書いてみようと思います。

この記事でも紹介させてもらった「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)の全文を読んでくださっている町議の方は他におられるでしょうか?

新田サドベリースクールの活動を知ってもらい理解してもらうためにも、「全文を読んでください!」とお願いしてもなかなかの分量ですし、読むのも大変だと思いますが、今日の高橋議員さんは全文じっくり読んでくださっている感じでした。

実は僕は高橋議員と直接お会いしてお話したことがないのですが、近いうちにお会いしてお話出来るのを今から楽しみにしています。

僕が一般質問を傍聴させてもらった限り、ちょっとしたボタンの掛け違いだったり、ちょっとした誤解からこのような質問になっているように感じました。

5年間やってきて、体験・見学などを含めると色々な生徒・家庭と出会う機会に恵まれましたし、色々な生徒・家庭のお話を聞く機会にも恵まれました。

新田サドベリースクールのスタッフをすることによって見えてくる世界があります。

その世界をこの景色を多くの人に伝えながら理解してもらいながら、仲間の輪が広がっていって欲しいなと願っています。

どうぞよろしくお願いします。

文: スタッフ 長谷洋介

 

 

 

 

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