合意のありかた

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「物事を決めるときにどうやって決めているの?多数決とかするの?」

と聞かれることがあります。

全体ミーティングで何かを決定しようとしたときに、時には賛成意見と反対意見が対立することがあります。

そんなときには、安易に「賛成の人?」「反対の人?」とそれぞれ手を挙げて多数決で決定するということはありません。

それぞれの意見を聞きながら、お互いの妥協点を探っていき、そこならば納得できるというポイントに落としていくことがほとんどです。

なので、ミーティングでも、日々の日常でも相手の気持ちに立って行動・発言するという姿勢がどんどん育まれているように感じます。

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先週のスケートでこんな場面がありました。

「スケートに行きたい。」とみんなで調整してやってきましたが、午前中滑っていたらスケートに飽きてきてしまったグループがありました。

そのグループの中から、「近くのイオンに行きたい。」という意見が出てきました。

10時前にスケート場に着いて、その意見が聞こえ始めたのが11時頃くらいからだったでしょうか。

周りの仲間に「午後からイオンに行きたいんだけど行かない?」と声をかけ始める姿がありました。

車が2台、スタッフが2人でしたので、2つのグループに分かれて・・・という選択肢もあったかもしれませんが、「いいね!イオンに行きたい」と16人中14人が賛同。

2つのグループに分かれて・・・というのが難しくなりそうでした。

そんな状況でどうなるかなぁと見守っていました。

「ねぇ、洋ちゃん1時からイオンに行くの?」

って数人の子から尋ねられましたが、まだ決定した感じでもなかったので、「そういう行きたいって声がチラホラ聞こえるけれど、まだ決まってないでしょ?僕は決定したとは聞いてないよ。どうなるか分からない。」と返答。

実際、「えー。行きたくない。」っていう子が2人いたから、どうなるかな、難しいかな。結局2時半までスケート場にいる事になるかな、なんて思っていました。

様子を見ていると、「イオンに行きたい」と言い出したSちゃんが、「行きたくないな。行ってもすることないし。」と言うKくんとTくんが納得するように色々と提案。

なかなか難しそうだなぁと見ていると、Sちゃんが僕の方にスーッと滑ってきて、「ねぇ、洋ちゃん、どうすればいいと思う?何かアドバイスちょうだい。」と尋ねてきました。

Sちゃんの中で、強引に決めてもダメだよな。みんなでスケートに行こうと決めて来ているのに、決まっていないことをしようとしているんだからみんなの合意が必要だよな。と自然と理解しそれに向けて努力している姿がありました。

Tくんはそのうちに「良いよ!」と納得。Kくんにも上手に話をして、最終的には「あと5周させてもらったら良いよ。」という風に納得してもらい、結局1時にスケートリンクを後にして、近所にあるイオンへみんなで行く運びになりました。

数年前だったら、「はい、賛成の人手上げて!はい、賛成多数決定!」なんて強引な(少数意見の人の気持ちに寄り添う事なしに)発言が見られたり、大きな声で強引に誘ったりなんて姿が見られることもありましたが、先週の「イオン行きたい!」の運動には相手を思いやる気持ちと優しさを感じ、嬉しく思いました。

相手を思いやる、相手の気持ちを汲む力がホントに育まれているように感じます。

相手がしたいということを応援してあげることが、次自分がしたいと思ったときに応援してもらえる

自分の自由を保障してもらいたかったら、相手の自由も保障してあげる

そんな相互関係のもと日常があるのだと思います。

「サドベリーの子は自分勝手でわがままで、学校に行かないと社会性が身につかない。」なんて言う人がいますが僕はその意見には懐疑的です。

ここで登場したSちゃんはサドベリーに通い始めて4年目になる女の子ですが、とても高い社会性が育まれていると感じます。

「サドベリーの子は」「学校に通う子は」とそれぞれの子どもを十把一絡げに扱うのは乱暴だと思いますが、せっかく良い育ちが見られるのでサドベリーの様子もこまめに発信して理解をしてもらえるように行動していきたいです。

【文 長谷洋介】