卒業

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3月になりました。

4月にここ新田サドベリースクールを巣立っていく生徒もいます。

この場所を離れていく形には色々なものがあります。

4月からは地元の小学校・中学校に通おうかなと離れていく生徒もあります。

中には家庭の経済的な理由で休学、というケースもあります。

新田サドベリースクールでは、今年度「卒業」について考え、話し合う場がありました。

アメリカのサドベリーバレースクールでは「卒業」は生徒が卒業したいというタイミングで、その意思を表明し、スクールメンバーの前で「自分がこのスクールで学んだこと、卒業後の進路について」等をプレゼンし、メンバーの承認を得て卒業が認められ、卒業生として卒業していきます。(あなたはまだ卒業は早い、と卒業が認められないケースもあるそうですし、第三者に卒業プレゼンを見てもらったり、卒業資料をチェックしてもらうということもあるみたいです。)

サドベリースクールと名乗っているスクールはそのように卒業のタイミングも生徒に委ねられてそのような形式をとっているところが多いのではないかと想像しています。

新田サドベリースクールでも、どういう人が「卒業」資格があるか、ということについて話し合った際に

・「3年以上スクールに在籍している生徒」

(在籍年数が少ないと、新田サドベリースクールがどんなスクールなのか理解(味わう)するのが難しいのではないか。1年じゃ分からないよね。2年でなんとなく。少なくとも3年なんじゃないかな。なんて在籍生(4年目の女の子)からの意見もありました。)

・在籍最終年の出席が150日以上あること

・学費の未納が無いこと

を条件にしたらどうだろうかという話し合いがなされ、今はそのように設定されています。

今回、在籍3年になるKくんが「卒業」したい。ただのOBとかではなく「卒業生」として次のステップに進んで行きたいと意思表明してくれて、それがきっかけで「卒業」についても考え、話す場を持てました。

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その方法など色々話し合いましたが、このスクールでは初めての試みでしたので、とりあえず先輩スクールの方法なども参考にしながら、プレゼン→承認→卒業式(仮)という予定を立てて、昨日がそのプレゼンと投票の日でした。

選挙のスタッフプレゼンの時と同様、メンバー全員が一堂に集結し、Kくんの言葉に耳を傾けました。

「僕が3年間スクールで学んだこと。」「スクールで難しいなと感じた事」「なぜこのスクールに通おうかと思ったか」「スクールに在籍して身についたと思う事」「進学する中学校を選んだ動機」

などを彼の言葉で発表してくれました。

彼のプレゼンの後には在校生(とスタッフ)からたくさんの質問が飛びました。

「3年間で一番楽しかったことはなんですか?」「遊びと勉強と自分の気持ちのコントロールが難しかったと言ってましたが、どのように受験勉強へと気持ちを持って行ったのですか?」「中学校で楽しみなことはなんですか?」「スクールにいるときに誰かに腹を立てて叩いたりしたことはありますか?」「なんで卒業しようと思ったのですか?(ただのOBとしてではなく)」「在校生へメッセージをお願いします。」

などなどなど

一番身近な先輩として、在校生はKくんに興味深々だったかと思います。

IMG_3213プレゼン+質疑応答の後はメンバーからの投票でした。

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全員がその場で投票を済ませました。

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その後すぐに「卒業認定委員」のメンバーで集計

満場一致でKくんは新田サドベリースクールの第1号卒業生として認められました。

新田サドベリースクールの平日クラスを始めて4年目で初めての「卒業生」が生まれました。

(今、在籍している生徒も、休学中の生徒も、これからもいっぱいいっぱい関わっていきたいなと思いました。)

「卒業」という選択をしなくても、ここの場を巣立ち新たなステップへと進んで行く生徒も今後もいるかと思います。

それでも、それぞれが在籍する(した)この新田サドベリースクールという場がとても良いものであるように、そしてみんなにとってもより良い場所となっていくようにこれからもメンバーと共にこの場所を守り育んでいきたいです。

「卒業」という形もアメリカのサドベリースクールはどうしているのかな?他の日本のサドベリースクール(デモクラティックスクール)はどうしているのかな?と参考にしながら、真似をしながら今回の場を持ちました。

それを今回第一回経験して、また次回はじゃあどうすれば良いのか考える材料になったかと思っています。出来て良かった。

「こうでなきゃいけない」という形はないと思うので、「もっとこうしたら良いんじゃないか」という意見があればどんどん変化していくものだと思っています。

それは今年度の「卒業」という形もそうですし、「選挙」という形もそうだと思いますし、それ以外の全ての事もそうだと思います。

それぞれメンバーの顔を見ながら、意見に耳を傾けながら、メンバーでスクールを運営していく。

「民主的な形でスクールを運営していく」

というところが一番大事なところだと考えています。

スクールの生徒(子ども)の意見ももちろん大事にしたいですし、スクールのスタッフ(大人)の意見も大事にしてもらいたい。

「子どもだから」「大人だから」というところは取り外しながら、自由闊達な意見の交換をしながら、スクールを「上手に」運営していけたら良いなと思います。

今日も楽しそうな笑い声がそこかしこから聞こえてきました。

楽しそうな雰囲気って良いですよね。

笑い声って良いですよね。

それが僕がスタッフをするうえで大事なパロメータになっています。

逆にそれらが少なかったり、誰かが苦しんでいたり、悩んでいたりしたら、どうしたら良いんだろうと頭を悩ませます。

それはきっと僕だけでなく、スクール全体の雰囲気としてそうなってきていますし、そうなっていって欲しいなと願っています。

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天窓の下でお弁当を広げて昼食を楽しそうにとっている女の子の集団がありました。

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毎朝、Yちゃんが登校後に靴を並べてくれるようになってから、自然とみんなも靴を揃えてあがるようになってきています。(まだワチャーとあがる子もいますが。)

一人ひとりの行動がスクールを変えます。

スクールは生き物で、僕たちみんながその一部です。

最後は蛇足のようになりましたが、3月は何かと感傷に浸ることが多いです。

春になってきて、だんだんと子どもたちも来年度のことについて話し合う機会が増えてきました。

Kくんは新田のおじいさんに畑を借りました。

Rちゃんはまたカフェチームを再結成するみたいです。

去る人もいれば、残って引き続きエネルギッシュに活動する人もいます。

【文 長谷洋介】