新田サドベリースクールでは、運営収入のそのほとんどを学費収入が占めています。
ですから、年度ごと・生徒数により、時に大きな変動があり、潤沢な資金を元にスクール運営をしているわけではない、というのが現状です。
けれど、それが即イコールで「子どもたちの活動を担保できない」に繋がる訳じゃないというふうにも感じています。
もちろん、『お金があることで できること』はたくさんあります。
確かに、『お金がないことで できないこと』も同じくらいにあります。
けれどその、「お金がない」という事実を別の角度に変えてみて見たとき、『お金がないから できること』も実はたくさん隠れているのではないかな、と感じるのです。
この活動もそのひとつだなぁと見ているのが、続・建築プロジェクトの改造チームです。
『小屋を改造したいんだよね』はじまりはKくんの言葉でした。
実は昨年度末、スタッフからこんな議案があがっていました。
[隣のロッジが空き家になるので、スクール拠点としてもう1棟借りたい。家賃は補助金申請をしてそのすべてを賄う]
その新田サドベリー会議の場で、Kくんから「もし今のロッジだけで本当に手狭になって、そのときに僕が居たら2棟目じゃなく裏木屋を増築するかな」という言葉がありました。
その議案自体は、[ロッジ1棟のままでよい]という結論に至りましたが、さぁ年度が明けてみると、Kくんの小屋改造熱が上がっています。
それに触発されて仲間も集い始めます。
けれど、
建築プロジェクト資金は使い果たしていてもうないね。
活動費や維持管理費などから、今のアイデアを現実化していくだけのお金はなさそうだよね。
材料があったら、どんどん改造にするのにな…。
と、そんな会話が改造チームの間ではありました。
⚫︎ではどうするか?
・もらう?
・拾う?
・物々交換(交渉ごと)?
・作る(材を切り出してくる?!とか)?
・買う?
果てさて。ほしいものを手にする方法は実にさまざまにあります。
チームメンバーのTくんが、わたしがぽろりと口にした『募集するのは?』というアイデアに反応しました。
早速、スタッフの手を借りてスクールのfacebookページ上に、木材・廃材募集記事が投稿されました。
サドベリースクールの活動において、生徒の活動を豊かにするのは何もお金だけではない、ということを改めて考えています。
ないないないとないもの探しをするのもひとつ。
すでに手に持っているものに視点を移すのもひとつ。
すでに在るさまざまな人・物・出来事。
そこへ、こどもたちの《○○したい!》の想いが乗っかったとき、
彼・彼女たちの知恵
彼・彼女たちの発想
が発動し、様々活動を創造していくことがあります。
・○○したい!を一旦辞めて時期を待つ、もあり。
・○○したい!のためにどう稼ごうかと考える、もあり。
・○○したい!を叶えるための資金ではなく、アイテムそのものをどう入手しようか策を練る、もあり。
つまり、なんでもありだし、なんだっていい。
こうしなさいという答えはない。
すべてに 間違いも正解もない。
どれを選択しても いい。
デモクラティックスクールにおいていわれる『自由』というのは、その辺りなのかなと、今のわたしは感じています。
だれかから一方的に整えられる環境でないところへ、『お金がない』という実、そこから起きる創造性、もうそれ(=お金がない)さえも生徒たちの活動を豊かにしていくんだな、というふうに感じています。
その豊かな創造活動が、“自分を生ききる力”に繋がっていくんだろうな、とも。
こどもたちとより多くの時間を過ごすようになり、わたし自身もぐんと創造されていっているのを感じずにはいられません。
新田サドベリースクールのスタッフ業って本当に面白みがあります。
スクール立ち上げ前の勉強会からずっと関わってきている スタッフようちゃんの言う 、“ここに在れて幸せ” という場面に遭遇する度 わたしもそれを感じています。
そんな現場体験をしていただける スタッフプログラムもあります。
将来、教員を目指して勉強をしておられるような学生さんにも 参加してもらえると 個人的に嬉しいな、面白いだろうなと思っています。
参加は随時受け付けていますので、お問い合わせください。ぜひ お待ちしております。
◉木材・廃材のご協力、どうぞよろしくお願いします◉
【文 松本雅子】